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2010/07/10

訴状 第2-3-(1) より~被告による問題だらけの対応 エーカ (2010/3/30)

(ア) 検査をせずに引渡しを受ける

以上のように、本件屋上防水補修工事の工事期間中から異臭が発生し、教職員も体調不良を訴えるような状態であった。

このため、原告、書道のF非常勤講師及びS音楽科教諭は、工事期問中から保土ヶ谷高校の事務長に対して、異臭や体調不良を訴え、原因の究明や検査の実施を求めていた。
にもかかわらず、被告は、施工業者に室内空気中化学物質濃度の検査を求めたり、あるいは自ら同検査を実施したりすることもなく、平成16年10月18日、漫然と、工事完了ということで引き渡しを受けてしまったのだった。

 
(イ)検査をせずにダクト工事

 
また、11月8日には、保土ヶ谷高校から、被告に対して、音楽教室及び書道室の臭い対策について、改善要請があり、これを受けて、11月10日には、被告が、補修工事施工業者によるVOC濃度の測定を行わせることが予定されていた。
ところが、同日、施工業者が測定器を忘れてきたということで濃度測定が実施されず、その一方で、換気扇3基(音楽室2基、書道室1基)の設置工事が、突然行われるという理解困難なことが行われた。それは、被告が命じた屋上防水補修工事によって、VOC汚染事故が引き起こされたという事実を、隠蔽しようとしたものとしかいいようのない行為だった。
しかも、皮肉なことに、この換気扇は、音楽室や書道室の中の空気を排気するものとして設置されたため、両室の気圧が下がり、かえって、天井裏やスラブ内に滞留していたVOCを室内に放散させる結果となった。

 
(ウ)信用性の乏しい検査

 
さらに、11月17日になって、ようやく施工業者によって実施されたVOC濃度の検査は、TVOC(総VOC)のみを測定し、トルエン、キシレン等の単体の濃度測定は行わないという極め中途半端なものにとどまった。

しかも、問題の音楽室や書道室については、当日まで換気を続けた状態にし、これを灯油ストーブが設置されている教室の測定値と比較して、測定値にさほどの差がないことを主張するようなものだった。
それはまるで、異臭については、健康被害が発生するようなものでないという結論を、事実を曲げてでも示そうとしているようにしか受け取れないような姿勢だった。

 
(工)教室使用の中止も退避要請を認めただけ

 
平成16年12月1日、保土ヶ谷高校の学校薬剤師山田平次によって、室内空気中化学物質の簡易測定検査が実施され、音楽室のトルエンが指針値の約4.6倍、天井内は5.8倍という高濃度の緒果が検出された。
このため、書道のF非常勤講師及びS音楽科教諭は、北棟3階から退避することを決意し、校長の諒解の下、中央棟生物室等へ移動して授業を行うこととした。
この点について、前記の「保土ヶ谷高校シックハウス事故について(県立学校施設整備に伴う室内化学物質対策検討委員会報告)では、「学校長、音楽室・書道室を使用中止」とし、あたかも、学校長が健康問題に配慮して使用中止を積極的に実施したかのごとく記載されているが、被告の学校長の姿勢はそのように積極的なものでは決してなかった。

 
(オ)試験センターによる基準内の検査結果とべ一クアウト間題

 
もっとも、学校薬剤師山田平次によるこの検査は、窓の開放等の事前措置を行わず、前日から密閉したままの状態で行ったものであったため、正確性が疑問視されざるを得ないものだった。
そこで、被告は、12月.9目、社団港人神奈川県薬剤師会試験センター(以下「試験センター」という)によって、「学校環境衛生の基準」の規定によるVOC測定を行うとした。
そして、被告(県教育委員会教育施設課)は、この検査結果が、基準値内のものであったからとして、12月21日、同月26日から音楽室及び書道室の天井板を外してべ一クアウト及び換気を行うとし、これによって本件シックスクール事故を強引に終わらせようとした。
しかしながら、原告ら芸術科の教職員が、VOC濃度の測定の場合、30分の換気の後に、5時間以上密閉した状態にして、その後に検査をすることになっているのに、12月9日に実施した試験センターの検査は、30分の換気直後から検査を行っており、信用性に乏しい検査であることを暴露した。そして、このような信用性に乏しい検査結果を根拠にして、本件のように重大なシックスクール事故の原因が分からなくなってしまうようなことをすべきでないと申し入れた。
このため、被告もこの検査が無効であることを認めざるを得なくなり、発表したべ一クアウトも中止して、原告の主張するように原因究明を行うこととなった。

 
(カ)原因物質完全除去要請と被告による原因究明

 
12月9日、原告らは、被告の学校長及び事務長に対して、原因物質を完全に除去することの要望書を提出し、学校長は、12月10日、同文書の趣旨に沿った要望を、被告の教育施設課に届けた。
また、1月初旬及び2月21日には、原告は、松沢県知事に対しても、資料を提出し、直接、請願もした。
さらには、3月3日には、神奈川県議会でも、このシックスクール問題を取り上げてもらった。
.原告や芸術科の教職員は、生徒や教職員の健康に関わる問題であるのに、むしろ、被告が間題を隠蔽しようとすることに納得がいかず、このように、各方面に働きかけることによって、問題の早期解決を試みた。
しかしなが、それでも、被告は直ちには対処をしようとしなかった。
そのような中で、平成17年1月末から2月にかけて、被告は、日本環境株式会社や株式会社ダイヤ分析センターに依頼して、検査を実施した。
しかしながら、この時期は真冬であり、気温が著しく低かったため、管理濃度の基準値を超える検査結果は得られるはずもなく、被告は、少なくとも現状は問題がないことばかりを強調するのみであった。
ただ、他方で、いずれの検査結果においても、室内から検出されるVOCと防水ブライマーに含有されているVOC、さらには、コンクリートスラブから検出されるVOCとは一致しており、かつ、コンクリートスラブ内の方が濃度が高かったため、屋上防水工事のプライマーに含有されていたVOCがクラック等を通じて染み込み、直下の音楽室や書道室に放散していることが合理的に推測することが出来た。したがって、これらの検査によって、本件異臭の原因究明については進展が見られた。
しかしながら、それでも、被告は直ちには対処をしようとしなかった。

 
オ 気温上昇に伴い、再び高濃度化学物質が放散

 
(ア)北棟3階諸室の使用中止

 
平成17年4月23日、気温が上昇したことに伴い、スラブ中に滞留していたキシレン等の揮発性有機化合物(VOC)が、再び、教室内に放散し、異臭が充満した。このため、PTA役員らが、使用されなくなっていた音楽室及び書道室を訪れたところ、あまりの異臭に驚き、学校長に対して、北棟3階諸室(音楽・書道・視聴覚・美術及び廊下等全て)の使用中止を要請した。
この結果、学校長は、要請通り、北棟3階諸室の使用中止を決定した。

 
(イ)西棟5階の異臭により生徒が体調不良

 
また、平成17年4月25日、気温が上昇したことに伴って、西棟5階でも異臭が発生する事態となった。
この結果、大量の生徒が体調不良を訴える事態となった。

このため、翌4月26日、保土ヶ谷高校は、職員会議において、西棟5階の臭い対策を被告教育財務課へ要請し、学校長は、西棟及ぴ南棟5階の使用中止を決定した。

 
(ウ)対策検討委員会の設置

 
このような中で、平成17年4月27日、ようやく、被告は、「県立学校施設整備に伴う室内化学物質対策検討委員会」を設置し、本格的に対策に乗り出すこととなり、同日、その第1回検討委員会が開催された。
翌4月28日には、日本環境による検査が行われ、音楽室の個別練習室左で、管理濃度をオーバーするキシレンが検出される等し、その後の検査でも異常値が検出される等した。

(エ)西棟5階の異臭により308名の生徒が体調不良

 
平成17年5月2日、西棟5階の異臭の発生により、体調不良を訴える生徒が続出したため、全校生徒を対象に健康調査を行ったところ、実に、全校生徒660名中、308名という大量の生徒が体調不良を訴える大変な事態となった。
そこで、同月5月26日、学校医及び応援医による診断を実施したところ、26名の生徒が専門医よる受診対象となった。
ところが、被告は、この26名の生徒については、独立行政法人相模原病院においてて受診をすべき旨を言い渡したため、保護者から、他院の専門医による受診を希望する声があがった。ところが、被告は、不当にも相模原病院以外の受診を認めなかった。
これらの生徒については、平成17年9月9日までに、相模原病院において受診し、シックハウス症候群2名、経過観察2名の合計4名の健康異常が認められた。
なお、上記26名には入っていなかった生徒1人が、平成17年夏ころに、北里研究所病院において、シックハウス症候群と診断されている。

カ 対策工事
被告は、本件屋上防水補修工事によってスラブ内に滞留したVOCに対する対策工事を行うことを決め、平成17年7月27日、その改修工事に着工した。
この対策工事が着工されて間もない同年7月ころ、北棟2階の家庭科室で授業をしているM家庭科教諭が、体調不良を訴えた。
ちなみに、同人は、17年10月28日には、化学物質過敏状態(シックスクール症候群由来の疑い)と診断された。同人は現在、公務災害の申請中である。
また、同じ頃、原告も、大量に痰が出るようになり、また、極度に疲労感を感じるようになった。
この対策工事は、夏季休暇中に終わる予定だったが、改修工事の最中に、北側書道教室前の廊下も汚染源になっていることが判明し、追加工事となった。このため、工期が延びて、改修工事の完成検査が行われたのは、平成17年10月19日だった。

 

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裁判経過-時系列-

 

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